“時計にもっと遊び心があってもいいのでは?”と思わせるイギリスの個性派時計
“Studio Underd0g(スタジオ・アンダードッグ)”は、デザイナーで創業者のリチャード・ベンクが、2020年に創設したイギリスのマイクロウォッチブランド。日本未上陸だが、実に魅力的でユニークな手巻きクロノグラフを展開している。
もともとベンクは起業家精神があり、いつか自分の手で何かを作り出したいと考えていた。 2020年、ロックダウンで監禁されパブに行けず、時間ができたベンクは、時計デザインのアイデアを練り始めることとなる。 コンセプトは“ビジネスライクな時計業界に遊び心を加えること”だった。
当初、自分の好きな遊び心のあるデザインで、いくつかのサンプルを作成した後、デザインコンセプトをソーシャルメディアで発表する。 商業的なことは考えてはなかったが、ソーシャルメディアで自分のデザインを紹介した際、多くのポジティブなコメントをもらったことがきっかけとなり、スタジオ・アンダードッグを設立し、最初のコレクションを発表することになるのだ。
スタジオ・アンダードッグでは、“人と違うことをする”ことを信条としており、遊び心のあるデザインに加えて、質感、素材、仕上げ、色など、細部に至るまで入念にディテールを作り込んでいるのが特徴。初めて発表したクロノグラフでは、1960年代に作られていたツーカウンタークロノグラフをモチーフにしながら、現代的なダイヤルデザインが施すことで独自性を主張。
インダイアルの大きさを変えることでアクセントを加えつつ、12時位置の下に文字を配置することでサイズ感を相殺し、バランスを整えている点が面白い。
外装に関しては、1950年代〜60年代調のプッシャーとケースのシルエットがアンティーク感を醸し出しており、ケースサイズは38.5mmとコンパクト。ハンドクラフトのレザーベルトが付属している。 見た目の美しさだけでなく、500ドル(約5万5千円)という手頃な価格も魅力のひとつでもある(2021年9月の発売予定価格)。
時計の内部には、シーガル社製の手巻きムーヴメント、Cal.ST-1901を搭載。このムーヴメントは、スイスのヴィーナス社が1960年代初頭に売却したCal.175の技術図面をベースにしたもので、作りは簡素ながら、ヴィーナス社の手巻きクロノグラフの面影を、手頃な価格で楽しめるのは大きな魅力と言える。
クラウドファウンディング最大手のひとつであるキックスターターで先行発売を開始した同社は、4月15日の段階で9万189ユーロ(約1700万円)を超える支援を集めることに成功しており、2021年9月からは同社のウェブサイトで一般発売を開始する予定だ。
2021年4月1日にSNSの投稿で茄子からインスパイヤされた新作クロノグラフの画像が公開されたが、リリース日がエイプリルフールであったこともあり、冗談と捉えているコメントが多かったようだ(どうやら本当に発売する模様)。このような冗談か本気か分からないスタイルもスタジオ・アンダードッグならではの魅力。遊び心を感じさせる新作の登場が待ち遠しい。